プロセス志向のキーポイント

 中小企業の場合は、経営者自身が文字通り最大の経営資源でるから、自ら最前線に立って陣頭指揮することで成り立っている場合が多い。しかし、組織として見た場合には、経営者の本来の役割は、顧客ニーズに適合した商品を企画・設計るためのプロセスを整備することなど、環境変化に的確に適合できる組織体制を整備することにある。
 その組織作りの第一歩は、現状の業務の進め方をマニュアル化し、プロセスをフロー図として「見える化」することである。業務を「見える化」することで、あるべき姿との乖離がビジュアルに把握できるので、業務の目的達成のための阻害要因も把握できるし、メンバー同士の協働体制も確立できるというものである。
 業務プロセスを経営の仕組みとして整備し、高度化していく際には、業務プロセスを、事業戦略を支えるビジネスモデルとして位置づけるべきである。ここで言うところのビジネスモデルとは、市場における同業他社との戦いにおいて、競争優位を獲得するための戦略に整備された勝利の方程式としての業務プロセスのことである。
 業務プロセスは、一旦整備すればそれで未来永劫機能するというものではなく、現状業務への適合性、有効性、効率性を常に測定・評価し、業務を更に改善するためのプロセスであり、継続的改善の仕組みでなければならない。市場競争に敗れた企業は、この業務プロセス(ビジネスモデル)が陳腐化したままの状態にあるといえる。
 経営組織としてプロセスを見た場合、今後最も重要なことは、ナレッジマネジメントであると思われる。ナレッジマネジメントとは、これまで見てきたように、組織内で生み出された知識(情報やノウハウ)を組織全体として共有し、活用することであるが、さらにそれらを組み合わせ、新しい知識を創造するための組織・仕組みを整備することである。
 そのための手法として、暗黙知を形式知に作り変えるシステムが推奨されているが、ともすると、そのこと自体が目的化されてしまい、ナレッジマネジメントとしての体をなしていない場合も見受けられる。ITの活用は不可欠なものとしても、まずは、変化の激しい環境に対応したプロセス志向として再認識しなければならない。