当期純利益のキャッシュフロー

 損益計算書の当期純利益は、その年度の利益を表すが、純利益に対応するキャッシュフローは、キャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローの増減を表す。当期純利益は、1年間の全ての活動の結果であるから、経営活動に関する収益と費用だけでなく、経営活動と関係のない、災害などから生じた損益も含まれる。
 すなわち、当期純利益は、[本業の活動]+[本業以外の経営活動(資金の調達・返済、資金の投資・回収)]+[異常な経営活動または経営に関係のない活動]?[税金の支払予定額]=[営業利益]+[営業外損益]+[特別損益]?[法人税等]=[売上高]?[売上原価+販売費及び一般管理費]+[営業外収益?営業外費用]+[特別利益?特別損失]?[法人税等]で表される。
 一方、当期純利益のキャッシュフローは、[売上高の現金預金等の入金]?[売上原価の現金預金等の出金]?[販売費及び一般管理費の現金預金等の出金]?[利息及び配当金の現金預金等の入金+利息の現金預金等の出金]?[法人税等の現金預金等の出金]となる。つまり、損益計算書の当期純利益(年度利益)に対応する現金預金等の純利益に当たるものである。
 このように当期純利益のキャッシュフローを捉える意義は、損益計算書で計算された当期純利益を貸し借り(まだ現金預金等となっていない状態)で生じた収益・費用を修正して現金預金だけで捉えた金額を明らかにすることにある。そこで計算された金額は、損益計算書で計算された当期純利益が本当に現金預金として増えているかどうか確かめる。
 当期純利益キャッシュフローと当期純利益の関係をみると、損益計算書の当期利益と営業活動によるキャッシュフローは、完全には一致しない。それは、有価証券売却益、投資有価証券売却、固定資産売却益の現金預金等の入金分が投資活動によるキャッシュフローに含まれているため調整しなければならないからである。
 当期純利益が出ていて営業によるキャッシュフローが増加している場合は、金額が大きければ望ましいことになる。つまり、稼いだ年度の利益が現金預金として増えたことを意味しているからで、当期純利益の金額と営業活動によるキャッシュフローが増加の金額の大きさで目標の達成度を判断することになるわけである。