提案者と提案理由

 事業計画の中核をなすのは製品・サービスであることには異論はないであろうが、その製品・サービスの受け手である顧客がどういう思いで、それを購買し使用あるいは消費するのか、という理由との因果関係によって付加価値が決まるわけであるから、開発者としては、顧客のプロフィールを知りたいと思うのは当然である。
 マーケティングで一番重視するのはこの点であるが、逆に顧客の側からいっても、この製品・サービスは、どんな人がどんな思いで開発したのかに興味がある筈である。その思いや開発秘話などが購買動機に繋がっていることは説明するまでもない。つまり、アイディア提案者のプロフィールを明らかにすることは重要な要件の一つだということになる。
 もちろん、事業計画を企画し提案するのは、直接顧客に対してではないので間接的なアピールでしかないかもしれないが、少なくとも、そのアイディアがどのようなプロセスで生まれたのか、それを提案するに相応しい人物か、どのようなキャリアの持ち主かなどを明示することで、顧客の特定ニーズもよりリアルにイメージできる。
 そこに描かれたストーリーが、提案者の思い入れや情熱を伝えるメッセージにもなり、協力者の共感を誘う原動力にもなる。例えば、過去の成功体験ばかりではなく、何時も不便に感じていたこと解決できるなど、顧客の問題解決に役立つためにチャレンジしてきたことを力強く訴えることが、製品・サービスのコンセプトにもつながる。
 このように考えれば、事業計画を評価する側にとっても、提案者のプロフィールが明らかにされていれば、提案者のやる気度や事業の推進者としての適性度も推定できるで、精度の高い仮説が設定できる。すべての項目の評価が必ずしも高くない場合でも、評価者の心を動かすという点ではプラスに働くことは確かである。
 といっても、いわゆるハロー効果などとは違い、アイディアを粉飾するというのではなく、実現性の高さをアピールするには効果的であると言っているだけであるので、あまり誇張することは避けなければならないが、プレゼンテーションの巧拙がアイディアの内容を理解してもらうこととも密接に関係していることは認識しておくべきである。