事業計画の基本構成

 新規事業を立ち上げるインパクトは、アイディアを出すことから始まるが、それは顧客の創造と表裏一体のものである。まず漠然としたアイディアが心の中に浮かび、試行錯誤が繰り広げられたのち、やがて複数の候補の輪郭が明らかになってくる。この複数のアイディアをさらにスクリーニングして選定するというプロセスを経ることになる。
 こうして選定されたアイディアは提案者のプロフィールを明らかにして、事業提案に至った背景の説明および事業コンセプトを明確に示さなければならない。企業戦略の中の一事業として位置づけられる場合は、経営理念と整合性をもった事業理念に沿ったものであることはもちろん、事業ビジョン、ビジネスモデルも重要な要素となる。
 事業計画が実行に移されるためには、製造部門ばかりではなく、ターゲットの設定や特定のニーズを設定して、円滑な商品・サービスの流れを1つの仮説で纏める事が必要となる。このマーケティング戦略が事業ビジョンと統合されていなければ、ターゲットとする顧客に本来の事業価値(バリュー)を理解してもらうことはできない。
 つまり、この段階における事業計画は、マーケティング戦略計画として再検討されると考えた方が解りやすいかもしれない。製造部門と販売部門のコンフリクトがあると、それぞれの部門の行動規範がバラバラになってしまい、顧客に対する訴求力が著しく削がれてしまうといった例は驚くほど多いのはこの辺に理由がある。
 提案者がプロダクトマネジャーあるいはマーケティングマネジャーとしての権限が与えられている場合は、マーケティングコンセプトに基づいた統合的なプロデュースは可能かもしれないが、提案者の仮説が歪められてしまい、財務目標とマーケティング目標のシミュレーションが不十分なまま事業がスタートしてしまう虞もある。
 すなわち、事業の収支計画は財務部門によって統制を受けるが、マーケティング予算も当然事業計画を推進するためのものである以上、別途組まれるものではないはずなのに、何時しか販売促進予算と化してしまう。こうした不合理を防止するためにも、事業計画は、当初からマーケティング計画として位置づけておいた方が無難である。