リスクの捉え方

 新規事業にはリスクがつきモノといわれるが、多くの関係者や協力者の利害を左右するものである以上、リスクは最小限に抑えなければならない。しかし、これを定量的に測定できるのは、金銭でカウントできるモノだけであり、精神的なダメージなどは、状況や個人の考え方にもよるので、測定が不能であるところに難しさがある。
 そうした捉えどころのないリスクではあるが、改革なり革新をリードする人材のリーダーシップによって、リスクの位置づけが大きく変わってくる。失敗を恐れることはある意味で必要なことであるが、だからと言って何もしないことが安全と考えるのでは、新規事業に取り組むことなど到底考えられないであろう。
 ニュービジネスが成功した要因を辿ってみると、リスクをそれほど意識しないリーダーが存在していたこと、リスクを取った人を見殺しにしない組織の風土が育っていたことがあげられる。しかし、こうした条件が整っているということは結構難しい。組織が肥大化すると、「何もしないこと」が昇進・昇格の必要条件と化してしまう。
 リスクゼロという行動はあり得ない。リスクが少ないことの代表格であった国債だって最近は怪しくなってきている。増してや投資効果を最大にすることを目的としているビジネスの世界では、リスクゼロなどあり得ない。そもそも、損益計算書の内容自体が、収益と原価・諸経費というリスクによって構成されている。
 すなわち、企業経営とはその活動により得られる収益とリスクのバランスをどのように調整するかで、成果を測定するものであるが、製造原価や諸経費は通常リスクとして位置づけられていないだけで、これが収益を上回ってしまえばリスクになってしまう。したがって、必要な費用とリスクが常に共存しているとみるべきである。
 もちろん、リスクに対してあまりにも鈍感すぎれば、事業の成功はおぼつかないが、何もしなければ、旧来のビジネスモデルは陳腐化し、やがて経営が行き詰ってしまう。そのジレンマから抜け出すためにモレとダブリのある経営計画を作成してしまい、なかば見切り発車の形で踏み切ってしまう。これが債務過剰という最大のリスクを生み出してしまう。