ABC分析

 パレート分析では、主として「20?80の原則」がどのような形で全体構成に働いているかを見るものであった。ABC分析も、売上げ、利益などは一定の商品点数や顧客数に集中している傾向を見るという意味では同じであるが、これらの集中度に応じてランク付けし、資源の適性配分や目標設定を行うベースを作るのが目的である。
 したがって、ABC分析では複数の評価軸を対象にしてランク付けを行う場合、まずパレート分析により、単一の評価軸により商品や顧客の分布状況をまず明らかにする。次にこれを用いて、対象を多面的に評価し、優先順位を決めるといった場合に用いられる。このとき、それぞれの軸は相互に独立した関係にあるものを選ばなければならない。
 例えば、パレート分析によりある商品の市場成長率と市場規模をABCに分類して、これをもとに高、中、低のマトリックスを作ると、その対角線のベクトルは市場の魅力度という合成された評価軸と捉えることができる。場合によっては、売上が多く利益率も高いという商品の貢献度を初めから作って置くことができる場合もある。
 しかし、この例のように「市場の魅力度」と無相関の評価軸を設定する必要がある場合は、商品の適合性、競合度合いといったやや定性的な評価軸が必要になってくる。この場合はパレート分析を適用することができない(難しい)ことになるが、ABC分析では定性的な指標をマトリックスにより作り込むことは可能である。
 この場合の合成指標は、「自社の顧客獲得率」と捉えれば、合成された新しい評価軸を基準に、9つの升目に市場魅力度(ABC)、自社の顧客獲得率(ABC)が描ける。これにより、営業エリア内の優先順位づけのフレームワークが明らかになる。このフレームワークは、研究開発プロジェクトの優先順位づけなどにも応用される。
 ABC分析をマトリックスによる事業の位置づけに応用したのが、ボストン・コンサルティング・グループの「PPM」であり、その精度を向上させたのが、GEのポートフォリオ管理マトリックスである。その他にも金融機関の顧客評価など、この手法を応用してランクづけが行われている例は数多く存在している。