パレート分析

 パレート分析とは、イタリアの経済学者パレートの名前に由来する分析で、全体の中で貢献度の高い要素の集中度や偏りを見るものである。経験則上からいうと、アウトプットの80%はわずか20%のインプットから得られるという関係が成り立つため、「20?80ルール」として知られている。例えば20%の富裕層で80%の資産を保有しているなどである。
 ビジネスの世界でも、値引き販売に象徴されるように、顧客をランクづけして優遇措置を講じるのは、この原則の存在を意識しているからであり、公平の観念にも反するものではないが、そのボーダーラインの引き方により議論が分かれるところである。しかし、経営資源に限りがある以上、顧客、商品、営業マンなどの貢献度を測定する必要性は大きい。
 パレート分析を行うことの意義は、均一になりがちなこれらの貢献度に応じて「差別化」することにある。まず、第一の理由は貢献度の高い商品や顧客へさらに経営資源を投入して、生産性を高めることで、顧客満足度の向上を図ることを狙いとしている。つまり、貢献度群の維持とポテンシャルのさらなる開発を狙いとしている。
 第二には、現状では貢献度は低いが、将来性のある商品や顧客を見極めて資源を投入し、収益性の改善を図ることである。そして第三には、ポテンシャルの低い商品や顧客を見極め整理することにある。現在の貢献度群の中にもポテンシャルを見いだせない不透明な部分が存在するので、この分析だけでは判別できないこともあり得る。
 しかし、そうしたポテンシャルを発見する意味においても、まずパレート分析を行ってみることで、商品や顧客の対象が明らかにされることになるわけであるから、それだけの意義は十分ある。また、貢献度の定義の仕方もその企業により、あるいはそのときの目的により異なるため、必ずしも、固定的に考える必要はない。
 例えば、貢献度の高い商品といっても、売上高なのか数量なのか、利益率なのか、利益かによって順位が違ってくる。さらに受取勘定の回転率を大きく問題にする場合だってある。職場のマンパワーの貢献度を評価する場合でも、営業成績や生産性ではローパフォマーであっても、組織の和を保つためには欠かせない存在もあるので注意が必要である。