感度分析

 解決すべき問題の全体像とその構造を明らかにするためには、「拡がり」と「深さ」を押さえることが重要であるが、それだけでは不十分であることは経験的に実感している。何故なれば、問題の解決といっても、経営資源や時間の制約などにより、実際に選択できる解決策は極めて限定的であるといわざるを得ないからである。
 ここで取り上げる感度分析は、ある指標の変化が最終結果にどのような影響を与えるかを明らかにするツールである。例えば、経営計画を策定する場合、売上高、費用、利益を考える際に、費用の中で固定費が50%上がった場合の利益、変動費が10%下がった場合の利益などを明らかにするなどという場合に用いられる方法である。
 感度分析は、予測損益計算書や予測キャッシュフロー計算書を作成する際にも用いられる分析方法で、ある変数が予測値から変動したときに、最終利益やキャッシュフローにどれだけ影響を与えるかを調べ、計画の安定性や危険度などを探るために使われる。そして、その変化は?20%?+20%という経験則から設定される。
 感度分析の表示方法は、スパイダーチャートとトルネードチャートがあり、スパイダーチャートは縦軸に結果を横軸に変数(売上高、固定費、変動費など)を?20%?+20%をとり、計算結果をグラフで表現し変数を図示する方法である。クモの巣のような形状をしているため、スパイダーチャートと呼ばれている。
 トルネードチャートは、上下20%ではなく、上限10%と下限10%を除く80%で変数のとり得る値を見る方法である。つまり、トルネードチャートでは、売上の変動は、下限を下回る確率は10%であり、上限を上回る確率は10%であるような上限と下限の売上高を設定し、同様の方法で利益についても計算していく。
 トルネードチャートでは、インパクトの大きい変数を上から順に並べて図示していき、どの変数のインパクトが大きく、コントロールしやすいかを考える。この形が竜巻に似ていることからトルネードチャートと呼ばれている。通常は、単純に上下20%の変動を見ていくスパイダーチャートの弱点を補い、より現実的なスパイダーチャートを使う。