売上高の分解

 通常シェアといえば、全体市場に占める当社の売上高の割合を指すが、全体市場規模をどの範囲で捉えるか、またはどの商品カテゴリーで捉えるかによって異なる。そこで、シェアを捉える前に売上高を多様な切り口から分解し、問題個所をあらかじめチェックしておくことで、シェアの拡大に寄与するという方向も考えるべきである。
 売上高の分解は、「売上高=売上総利益+売上原価=営業利益+販売管理費+売上原価=経常利益+営業外収益+販売管理費+売上原価」という売上高の利益構造で分解するのが一般的である。また、成長率を見るためには、「売上高=前年度売上高+売上高増減=前年度売上高×売上高成長率」というように分解する。
 顧客層別の強みを見るためには、「売上高=10代層の売上高+20代の売上高+...=国内売上高+国外売上高=東日本売上高+西日本売上高」という分解になるし、資本の効率性や従業員の生産性を見るためには、「売上高=店舗数×店舗当たり売上高=従業員×従業員1人当たり売上高=売上債権×売上債権回転率=総資産×総資産回転率」に分解する。
 さらに、各事業や商品の強みを見るのであれば、「売上高=A商品売上高+B商品売上高...=A事業部売上高+B事業部売上高...」に分解してみることになるが、顧客の行動で分解すれば、「売上高=(ターゲット人口×認知率×来店率×購入率)×(年間購入数×1回当たり購入点数×1点当たり商品単価)」になる。
 ここで取り上げているシェア分析の場合は、「売上高=業界売上高×自社シェア=業界売上高×商談カバー率×勝率=業界売上高×特約店カバー率×ISS(インストアシェア)=業界売上高×カバー率×認知率×トライアル率×リピート率」に分解してみる。このほかにも、付加価値で分解することや細分化した費用で分解する場合がある。
 いずれの場合も、単独で行われるのではなく、複数の分解方法を駆使することにより、自社の強み・弱みを発見し、シェアアップに繋げるために行われるものであるが、定性的な要因を見つけ出せるとは限らない。したがって、売上の分解やシェア分析は、顧客の深層心理に迫るための分析手法に過ぎないのである。