シェア分析

 市場シェアとは市場占有率のことであるから、全体市場における当社の売上高で表されるが、そのシェアが低いということの原因を突き止めなければ、回復に取り組むことはできないわけだが、現場では、「シェアを上げろ」という激が飛んでくるだけで、具体的に何をすればよいのか見当がつかないという状態にあることも多い。
 そこでは、「価格競争力がない」とか「大手の総合力にはかなわない」などという、最もらしい理由を考え出し、営業努力が通じないことを証明しようとすることになる。そこで、このシェアを決定づけている構成要素を幾つかに分解し、その要素ごとに検討するという方法でアプローチしてみることが必要になってくる。
 シェアは、「売上高÷市場の大きさ」で表されるから、市場の大きさが一定であるという前提に立てば、売上高を決定している要因に問題があることは確かである。そこで、売上高=商品力×販売力に分解してみると、商品力が優れていて販売力も絶対的に強ければ、シェアは100%であるし、逆の場合は0%ということになる。
 小売業などの店舗販売の場合は、これに店舗力も要因の一つとなるが、ここでは便宜上販売力に含めて考えると、商品力と販売力どちらかが強ければ、ある程度はシェアを上げられる可能性があるということになる。そこで今度は、商品力が一定レベルにあると考えたとすれば、どのようなことが言えるだろうか。
 そうすると残るのは営業力であるが、これはまた、「市場に対する自社のカバー率」と「他社と競合した時の勝率」に分解できる。「カバー率」とは、消費者が商品を直接手にとって自由に選択できる状態にあることき、カバー率100%といい、「勝率」とは、自社と他社の共通したカバー率に占める自社のシェアのことである。
 例えば、全体市場の中で50%が共通のカバー率であったとすると、その中で自社が50%のシェアであれば、当社の勝率は50%ということになる。更にこれを件数(客数)のカバー率と需要のカバー率に分解すれば、物流拠点の増強あるいは営業マンの数の増加、教育訓練などの質の向上など、効果的なシェアアップ作戦が見えてくる。