相関分析

 相関関係とは、一方が変化すればもう一方も変化するといった関係のことである。例えば、よく言われるように営業マンの訪問回数を上げると、売上が上がるといった場合は、訪問回数と売上の間には何らかの相関(相関関係)があるという。また、気温の変化とビールの売上の関係などもかなりの相関関係にあることが知られている。
 しかし、営業マンの訪問回数と売上高の関係のように、表面的には強い相関があるように見えても、両者の間には別の因子が介在していることもあるので、コーザリティ分析や主成分分析、重回帰分析などで検証してみる必要があることはこれまで再三述べてきた。多様な要素が複雑に絡み合う経営問題で因果関係をズバリつきとめるのは難しい。
 相関分析は、仮説を立てるときにあらかじめあたりをつけ、論理を組み立てる場合には有効な手法であるので、他の分析と組み合わせて使用されることが多いと思われるが、あらゆる分析の基礎となっている考え方でもあるため、相関関係を推定するには便利な方法であることは確かであり、帰納法的考え方の基本でもある。
 相関分析は、通常クロス統計表を作成して、相関係数を求めて両者の間の関係の深さを判定するという使い方や、これをグラフ上に回帰線を描くことで明らかにされるが、相関係数は+1から?1の数値なるので、この数値で判断することもできる。また、データを直接グラフにプロットして点グラフを描き、散布図で判断するといった使い方がある。
 ここで注意をしなければならないことは、ある現象と要因との間に因果関係がある場合には、相関関係が成り立っているが、逆に相関関係があるからといって、因果関係があるとは限らないということである。例えば、営業マンの訪問回数と売上高との間には、確かに相関関係はあるが、因果関係があるとは言えないこともある。
 すなわち、現象と要因の間に相関があること、原因と結果の順序が論理的に逆転していないこと、現象と要因の間に異なる要因が介在する場合、その要因間にも相関と因果関係が成り立っているという条件が満たされていなければ、因果関係が成立していることにはならない。相関分析ではこの辺の見極めがポイントとなる。