コーザリティ分析?その2

 コーザリティ分析では、まず、現象を引き起こしている具体的原因を見つけ出す。次に、突き止めた具体的原因と顕在化している問題の因果関係を矢印で結んで見る。因果関係が繋がらない場合は、そこに介在する何らかの因子(第3の因子)が抜けていたり、因果関係が逆(矢印の方向)であることもあるので、この作業を何回か繰り返してみる。
 こうして因果関係が明らかになれば、真の原因に関して解決の優先順位をつける。例えば、「商品が売れない」という問題(現象)の原因を突き止めるため、「ロジックツリー」により具体的に考えていくと、この最大のポイントは需要予測が不十分だったという結論に至ったとすると、販売促進策自体が的外れなものであったことになる。
 コーザリティ分析を行う目的は、悪循環が生じている原因の因果関係をひもとくことで明らかにすることであるから、ロジックツリーなどを使って原因を突き止めたとしても、好循環に転換する解決策として役立たなければ意味がない。例えば、「商品が売れない」真の原因が明らかになったとしても、それを解消できる解決策が見つかるとは限らない。
 場合によっては、撤退するか値引き販売で少しでも投資額を回収できればよしとせざるを得ないこともあり得るが、その場合でも採り得る解決策として最良の策であるかもしれない。つまり、コーザリティ分析は、悪循環が生じている最大の原因を追求するという使われ方よりは、計画段階でリスクを見つけ出すことに意義がある。
 企業経営における問題解決は、時間的な制約が極めて大きいわけであるから、計画時点において問題の顕在化を防止できれば、事後において場当り的な解決策を選択することによるリスクも最小限に抑え込めることになる。顕在化した悪循環を断ち切るためには、何らかの調整も考慮せざるを得ないという状況に陥ることも予想しなければならない。
 こうしたボタンのかけ違いが、経営資源の無駄使いにつながり、経営危機に直面している企業も数多いことを思うと、コーザリティ分析を行うことは、まさに転ばぬ先の杖ならぬ「知恵」とでもいうべきツールでもある。因果関係の連鎖をしっかりと捉えることで、問題の捉え方がMECEになれば、精度の高い仮説を導くことにも結びつく。