コーザリティ分析?その1

 経営の現場では、ある問題が表面化しているのに、その原因が複雑に絡み合っているために、何が最大の原因であるか特定できないまま、取りあえず場当り的に何らかの手を打ってしまうことはよくある。しかし、原因を追求しないままでは事態が改善されるはずがなく、場合によってはかえって泥沼に足を引き込まれることにもなり兼ねない。
 物事がうまくいかない時は、往々にしてボタンの掛け違いの連鎖により、悪循環にはまっていくことはよくあることであるが、このような時に、現在生じている現象の根本的原因を突き止める手法がコーザリティ分析である。すなわち、表面化している現象の背景にある根本原因を突き止めるための分析手法である。
 コーザリティ分析とは、このように幾つかある問題の因果関係を明らかにして、真の原因を突き止めるための手法であるが、例えば、「利益が上がらない」「顧客が減少している」「従業員のモチベンションが上がらない」という問題があったとする。これら3つの現象の間には何らかの因果関係があるに違いないと睨むことか始める。
 具体的には、真の問題を見つけるために3つの問題を繋ぐように因果関係を整理してみる。例えばこの場合、「従業員のモチベンションが上がらない」という現象は、「従業員の顧客に対する対応が悪い」→「顧客の減少している」→「売上が減る」→「利益が上がらない」→「給与やボーナスが減る」。「従業員のモチベンションが上がらない」となる。
一方、「従業員のモチベンションが上がらない」→「従業員の生産性が悪い」→「コストが上がる」→「利益が上がらない」という因果関係が整理できる。そうすると、この場合どうやら、「従業員のモチベンションが上がらない」ことに回帰することになっていることかに気がつくであろう。この原因を探ることで問題のネッコが特定できる。
 この原因は、「職場の雰囲気が悪い」→「職場の雰囲気の悪さが顧客に伝わる」といった構造になっていることにあるとすれば、単に従業員を叱咤激励しても従業員のモチベンションが上がるはずはなく、「職場の雰囲気の悪さ」の原因を徹底究明して、抜本的な対策を立てなければならないということになるわけである。