顧客が負担するコストは、企業が一方的に設定したものであり、提供されるバリューの内数として位置づけられる。すなわち、企業が投入したコストと顧客満足の合計がバリューであるから、バリューの総量が顧客に受け入れられるか、内数としてのコストの妥当性が認められるかである。バリュー=投入コスト+顧客満足度という関係が成り立つ。
この関係式から明らかなように、投入コストを上げれば、企業側の提案するバリューは上がるが、肝心の顧客満足度がそれに比例して高まらなければ、このバリューは顧客から拒絶されたことになる。経営危機に直面している企業は、この等式の意味を正確に理解していないため、付加価値分析が不十分であったことが大きな原因になっている。
商品やサービスが売れるメカニズムは複雑で、企業が提供するバリューに変化がなくても、景気動向や突破的な環境変化によっても左右されるから、顧客満足度は相対的に上下することは確かである。しかし、その場合でもバリューが低下したという事実には変わりないわけで、ビジネスモデルが拒絶されたと受け取るべきである。
企業経営はもともと経済環境という水の上に浮かんでいる船のようなものであるから、環境の変化を嘆くのはズジ違いである。運不運はあるにしても、環境の変化に対応できなかったことが、経営の悪化につながったのであれば、バリューの分析(測定)が間違ったか、あるいは自社の強みを生かしきれなかったと言わざるを得ない。
価値(バリュー)の提案こそが、マーケティングの原点であると考えれば、企業が市場に送り出す製品・サービスはハードな品質(中核的品質)に限定する必要はなく、むしろ、顧客の課題解決のためにどのように役立てるかといった、ソリューションを基準に付加価値分析をすることで、ビジネスモデルの再構築を目指さなければならない。
特に近年は、情報を一元化することで迅速なサービスを商品化する動きが活発化してきている。例えば、宅配便の多様化やネット販売などがその例であるが、その一方で、昔ながらのローテクをより丁寧に駆使した本物指向も同時進行している。すなわち、付加価値を分析する以前に、誰にとっての付加価値なのかを定義しておかなければならない。
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