付加価値という概念を明確に捉えるためには、顧客にとっての価値(バリュー)と価格(コスト)の関係を整理すると解りやすい。顧客にとっての価値(バリュー)は、顧客が負担するコスト(価格:付加価値の一部)と顧客の満足度の合計であるから、コストを圧縮して価格を下げるか、コストを高めてそれ以上に価値を高められるかという問題である。
したがって、付加価値分析は、顧客にとってのバリューを生み出しているか、付加価値の高い部分をどれだけ自社の経営活動として取り込めているかを見ることから始められる。もちろん、これらを評価する軸は絶対的なものではなく、競合他社が生み出す価値との競争により、最終的には顧客が判断するものであるところにむずかしさがある。
具体的なアプローチとしては、コストパフォマンスにより訴求力を高めることで、差別化を図る戦略を選択する場合と、経営資源を追加投入してバリューを高めるべき場合がある。つまり、価格競争による場合と新たな価値を創造する競争のどらを目指すかによって、顧客への訴求の仕方が違ったものになるということである。
前者の戦略を選択する場合は、顧客のバリューが比較的安定しており、負担するコストがもう少し安ければ、消費が拡大することがデータとして把握できている場合である。すなわち、価格弾力性が高い製品・サービスということになるが、例えば、「牛丼」や「ハンバーガー」などはその代表的なものであるが、絶対的なものではない。
何故ならば、現在の市場を前提とするならば、確かに低価格の実現が顧客のバリューを高めるので、訴求力は高まるかもしれないが、全体市場を構成している顧客の全てが同一の価値観でバリューを捉えているとは限らないからである。現実に価格訴求力がアップしたにも拘らず、売上高がそれほど伸びないといった場合だってある。
ともあれ、価格訴求力によるインパクトは有力な差別化要因であることには違いないので、ローコスト・オペレーションの実現は、永遠の課題であることは事実である。その場合の着眼点は、単なる原材料費の節約に留まらず、操業度の増加による経験曲線の上昇、あるいは、固定費の変動費化、外注によるコスト削減などである。
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