付加価値分析?その1

 付加価値という概念は、いまひとつ理解しがたいものであるように思われる。それは付加価値を構成する要素が利益以外は費用であるのに、付加価値生産性(従業員一人当たり付加価値)が高いことが企業評価を決めているという矛盾があるからではないだろうか。極端に言えば、費用を多く支出する企業は、「よい企業」なのだろうかという疑問である。
 付加価値とは、企業の経営活動により新たに生み出された価値であり、企業側の利益を含むトータルなコストである。そこで、付加価値分析では、企業の経営活動である、製品・サービスを生み出すプロセスで発生するコストを、プロセスの段階ごとに分解して積み上げ、それにより、どこにコストをかけて価値を生み出しているかを把握する。
 企業が提供する製品・サービスが顧客に受け入れられるレベルが「訴求力」であるが、訴求力は、顧客が認知する価値(バリュー)と顧客が負担する価格(コスト)の差によって決まる。製品・サービスが一定であれば、価格の安い方が満足度も高いが、逆に価格が一定であるならば、価値の高い方が満足度も高くなる。
 企業にとっての「付加価値」は、顧客が支払うコスト(価格)に等しいが、高いコストをかけた製品・サービスだからといって、顧客が喜んで買うとは限らない。つまり、よく売れている製品・サービスには、顧客の求めるバリューがあり、そのバリューを手に入れるために負担してもいいと思う価格(コスト)であることが条件である。
 この条件は絶対的な尺度があるわけではなく、競合他社との差別化の状態によって変化する。したがって、企業にとっての付加価値分析は、単にコスト管理のためのツールではなく、顧客にとってのバリューという視点から無駄なコストを削減し、訴求力を高めるコストを増大させる戦略的投資という立場から行われるものである。
 製品・サービスを開発してから市場に出すまでの付加価値を最大にするために行われる稼働分析などは、時間軸でMECEに捉えたものである。ここでは、付加価値を高めるために不可欠な工程(時間)なのか、付加価値が一定であるとすれば、時間を節約することで、相対的に顧客にとってのコストを節約できるかという視点で評価される。