分析の結果、X軸とY軸に相関関係が見られたとしても、直ちにこの関係により標準化を図ろうとしても無理なこともあるので注意が必要である。例えば、よく言われる営業マンの訪問回数と売上高の関係をプロットしてみると、確かに訪問回数の多い営業マンの売上高は高く、訪問回数が少ない営業マンの売上高は低いことが読み取れる。
この情報を基に、営業所のマネジャーは、訪問回数のバラツキがあることが問題であるとして、売上高実績の低い営業マンに対して、訪問回数を上げるよう激をとばす。その結果、訪問回数は増えるが、売上高は一向に増えないというケースがよくある。
このときのグラフから読み取れたように、優秀な営業マンは現在でも訪問回数が多いわけであるから、行動パターンはあまり変わりないが、劣っている営業マンは、比較的効率の悪いテリトリーを担当させられている場合も多く、訪問回数のノルマを達成するためには、行きやすいところの訪問回数を無用に増やしてしまう。
そのため、人間関係の希薄な新規顧客や遠隔地の顧客には足が向かなくなり、売上増には全く結びつかない。この場合、表面的には訪問回数と売上高にはかなりの相関関係があるようにみえるが、実は売上に直結する重要な要素があることを見逃していたと言わざるを得ない。それでは、この分析ではそこに隠された要素を探り出せないのだろうか。
実際には、自社の内情を熟知しているわけであるから、営業マンのバラツキを決めている要素が訪問回数ではないとしたら、他の要素である営業マンの経験年数ではないかという疑問を持っても不思議ではないはずである。そうした切り口から、X軸に経験年数をとってみると、売上高と営業マンの経験年数との間には強い相関が見出せるかもしれない。
このパターンは、ある広告代理店で実際に遭遇した事例であるが、仮説思考により分析に挑まなければ、因果関係を見つけ出すことはできないという典型的な形である。この会社に欠けていたのは、営業マンの訪問回数管理ではなく、よい営業マンと悪い営業マンの比較分析によるコンピテンシーマネジメントの問題だったのである。
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