アウトプット評価指標とプロセス評価指標

 事業の一定期間の活動成果を表す業績成果はアウトプット評価指標によって測定されるのに対して、顧客に対するアプローチ件数を増やすための行動などは、どのような行動をとったかという行動過程を評価することになる。これがいわゆるプロセス評価指標であるから、どのような行動が効果的であるかを測るモノサシを用意しなければならない。
 戦略テーマごとにその進捗状況を測るアウトプット評価指標と成果を生み出すためのプロセス評価指標に分けて、業績評価指標とその目標値を列挙していくことになる。その手順は、まずアウトプット評価指標として、既存の業績評価指標により、戦略マップ上の視点ごとに分類した戦略テーマとその達成における責任の所在を規定する。
 そして、戦略テーマの達成度合いを測る指標と個々の指標を担当する組織を対比させていく。具体的には、視点ごとに分類された戦略テーマとこれを担当する責任部門、そしてアウトプット評価指標、アクションプランを遂行する担当組織、その行動評価であるプロセス評価指標というようにKPI展開していくわけである。
 こうした展開の中から、そのアクションの達成度や効果を測るプロセス評価指標を規定し、戦略テーマから個別具体的なアクションの結果の測定を行う業績評価指標との因果関係を考慮して定義することができるようになる。つまり、アウトプット評価指標の基準をクリアするためにはどのようなアクションフランが必要かを明らかにすることである。
 バランス・スコアカードにおける4つの視点のうち、「財務的視点」以外の「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」は定量化しにくい項目が業績評価指標の候補にならざるをえないが、定性的にしか捉えられないプロセスや活動に対する評価を明確にしたいというのが、バランス・スコアカード導入の目標でもある。
 そうした定性的目標についても達成度・進捗率などは「定量的」に表現できる。つまり、できるだけ数値化することで評価しやすくする工夫が求められる。数量化理論などは、この考え方によるもので、定量的に測定可能な指標の評価から、そこに反映された背後にある影響力といったものを数値に置き換えることは可能である。