業績評価指標の設定

 市場展開における重要成功要因を抽出し、事業戦略テーマが戦略マップに描かれると、その戦略テーマについての業績評価指標を設定しなければならない。この作業は、ミッションマネジメントの戦略策定ステージにおけるビジョン(目指すべきゴール)→市場差別化要因(戦略)→重点方針→行動計画に対応するものである。
 すなわち、バリュー(行動規範・価値観)→組織目標→方針目標→プロセス評価基準に相当するもので、これらの対応関係を保ちながら、どのような尺度によって戦略テーマの進捗状況を測るかを考え、業績評価指標を設定する。具体的には、数式や算式により、売上高、利益やROE(株主資本利益率)、ROA(総資本利益率)などのである。
 もともとバランス・スコアカードが生まれた背景には、これらの経営活動の結果を示す財務的業績指標のみを目標に掲げるだけでは不十分であるという反省があった。つまり、非財務的な評価指標を如何にしてとり込んで評価するかといことを、解決するためのツールとして登場したのがバランス・スコアカードなのである。
 こうした背景を考える時、モニタリングとフォローアップを運用できる仕組みとするかが、バランス・スコアカード構築の最重要課題の一つに位置づけられるであろう。例えば、売上高といった財務的業績指標に対し、マーケットシェアなどは非財務的業績評価指標の一つであるし、特許出願件数や新製品開発、開発頻度などもこれに類するものである。
 市場における重要成功要因に対して、とり得る戦略テーマに沿った形で業績評価指標の設定を行うかは重要なテーマである。実際に業績評価指標を選定していく際には、まず、戦略テーマに最も影響を与える重要な業務プロセスは何かを考え、そのプロセスのあるべき姿、変革の方向性を確認し、その進捗状況を数値で評価するようにする。
 この拠り所となるのが、バリューチェーンである。一つひとつの戦略テーマは、価値の連鎖を最大にするために設定されているとも考えられるから、その戦略を遂行した結果を示す業績評価指標が例えば原価率の低減にあるとすれば、これを評価指標として盛り込むことになる。つまり、重要プロセスの何を測ればよいのかという分析より決定される。