戦略マップの作成

 戦略マップとは、戦略テーマをバランス・スコアカードの各視点に整理し、最上位の財務的視点に含まれる経営目標の達成に向けて、どのような顧客戦略、業務計画を立てるか、そして、これらを支える人材をどのようにして育成しいくかなどを、情報システムの構築を包含したものを一つのマップに纏めたものである。
 有名なモービル石油の戦略マップでは、使用資本利益率(ROE)という経営目標達成に向けて、売上高の増加と生産性向上を財務目標の2大項目として掲げ、これを実現するための顧客戦略として、顧客満足の追求とディーラーとの共存関係を構築するという大きなテーマを設定して、顧客戦略を成功させるための展開をしている。
 顧客戦略として、ガソリン販売以外のサービスの提供、ターゲットとなる顧客層への高品質のサービスの提供、物流費用等を柱とした業務効率の向上、安全・環境への配慮などを掲げ、これらの施策を実行し、目標を達成するために従業員に対してモチベンションの向上と能力開発を求めるとともに、情報システム等の技術力の向上追求している。
 企業は、中期経営計画の目標値として、経営目標を対外的に表明しているので、IRの観点からも、経営目標に基づく戦略テーマを戦略マップの最上位である財務的視点に仮設定してみることでシミュレーションが開始される。この時、演繹的に顧客戦略を財務的な経営目標との因果を積み上げながら選択していく。
 すなわち、その販売戦略が達成されたなら、売上や利益等の財務的経営目標が本当に達成可能かどうかチェックしながら、顧客の視点の範疇に類する戦略テーマを設定していく。同様にして、納期の短縮や外注費の低減というような業務プロセスに関する目標も顧客戦略、財務戦略の各テーマとの関係を明確にしていく。
 こうして4つの視点により振り分けられた戦略テーマを関連性があると思われるテーマ同士を線で結んでみる。こうすることにより、それぞれの戦略テーマの因果関係が見えてくれば、最上位の財務的な経営目標を達成するためには、どのようなプロセスで何をしなければならないかが明らかになって来るはずである。