バランス・スコアカードの特徴の一つは、戦略や戦術に業績評価基準を結びつけている点である。従来の経営計画では、これを展開する方針やアクションプランとして位置づけられていたため、戦略と管理会計がバラバラに管理されていた傾向があった。すなわち、業績評価はもっぱら財務指標によるところが中心であった。
したがって、戦略や施策の進捗状況、成果を評価することと整合するものではなかった傾向があったが、バランス・スコアカードでは、戦略や施策に基づいて業績評価基準を設定することを重視している。換言すれば、貨幣価値で表示される財務的指標とその背後にある戦略や施策との関連性に焦点を当てているところに特徴がある。
第二に、業績評価基準間の因果関係を重視している点である。バランス・スコアカードは、総合業績評価制度のように重要な財務的指標を結果として評価するというのではなく、この背後にある顧客満足度との因果関係を分析し、次の戦略に対して仮説を与えるという点に重点が置かれているので、従来の方針管理とは異なったものである。
従来にも、こうした考え方自体なかったわけではない。そもそも財務的指標を重視するというのは、経営戦略を実践した結果を総括するという意味合いがあるわけであるから、戦略自体の甘さあるいは、方針の誤りなどをチェックするだけに止めるというのでは、評価する価値は半減するはずであるというのは当然のことであった。
第三の特徴は、バランス・スコアカードは仮説検証モデルをより意識している点である。バランス・スコアカードにより因果関係を捉える事が出来たとしても、その段階で構築できる戦略はあくまでも仮説であることには変わりはない。バランス・スコアカードを構築することではなく、PDCAサイクルを循環させ、因果関係を立案し検証することにある。
従来型の総合業績評価制度では、計画と実績の差異分析にしても、差異を明らかにすることに止まっていたが、バランス・スコアカードでは、計画や戦略、施策そのものの妥当性を検証することが目的であるという点が新しい。つまり、バランス・スコアカードは、実績と計画の差異分析を通じて仮説検証を繰り返すツールとして位置づけられる。
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