リーダー育成プロクラムの設計

 企業に求められるリーダーは、リーダーシップとマネジメントスキルの両方をかねそなえた人材である。リーダーシップとは、進路やビジョンを設定し、人心を統合し、部下を動機づけ・エンパワーメントによって組織を動かすことである。一方のマネジメントは、計画立案・予算編成、組織編成・人員配置、コントロール・問題解決などである。
 リーダー育成プロクラムを設計する場合には、リーダーにはリーダーシップの発揮により、変革の実現と複雑な環境に対処できるマネジメントを期待しているので、これを設計の段階でしっかりと明示しなければならない。しかし、育成するという目的をもっているという意味ではリスクをコントロールするルールも必要になるであろう。
 リーダーにはハイリスク・ハイリターンはつきものであるとはいうものの、余にハイリスクを強いるようでは、応募する側のマインドに悪影響を与えかねない。採算を度外視した起業はあり得ないが、さりとて余にリスクが大きいというのもチャレンジ精神を阻害してしまう。適度なリスクをいかに演出できるかがポイントとなる。
 起業を成功に導くためには、組織のパックアップは不可欠であり、そのための仕組みづくりも必要になってくる。具体的には、マネジメントや対人関係などの基本的な理論を事前に習得させることにより、実践に通用する学習をさせるという意味で、起業家塾などという内部研修をあらかじめ組み込んでおくことなども有効である。
 リーダー育成を目的とした起業支援プログラムは、若い社員に向かって開かれたものであるべきなので、公募制は全従業員を対象にして緩やかな募集要件にすべきである。同時にチャレンジを促す企業文化が成熟していなければ、いかに練られた仕組みを作ったとしても社員のマインドを刺激することは難しいと思われる。
 実力主義が当たり前というオープンな気風がなければ、起業としての成功には結びつくはずがない。自己責任が原則とは言っても、制度的側面と同時に企業文化そして自己啓発が一体となって初めて、起業にチャレンジするマインドが醸成される。この構図はある種普遍のものであり、リーダー育成プロクラム設計においてもぶれることはない。