バランス・スコアカードのタイプ

 バランス・スコアカードは、キャプランとノートンにより、戦略と強く結びついた業績評価モデルとして誕生したが、その後進化して戦略的目標や業績評価指標とリンクさせた戦略マネジメントシステムとなった。もう一つは、バランス・スコアカードを使って、知的資本や無形資産を管理しようとするものである。
 前者の戦略推進型バランス・スコアカードは、米国が中心であるのに対して、後者の知的資本管理型バランス・スコアカードは欧州企業に多いという。榛沢明浩氏によれば、知的資本の定義は、大きく2つのタイプに分けられるとされる。1つは知的資本を「従来の会計手法では把握できない、見えない資産そのものと捉える考え方」である。
 この知的資本は米国では無形資産と呼ばれことが多いが、もう1つは、知的資本を「単に利益に転換しうる知識とする考え方」である。知的資産や無形資産が注目されるようになった背景は、従来の財務諸表に記載されている建物や機械などの資産だけでは、企業の将来におけるキャッシュフローの獲得能力を評価できなくなってきたことがある。
 その結果、財務諸表に記載されない新しいキャッシュフローの獲得能力を説明するため、知的資本という考え方が誕生しわけである。L・エドヴィンソンによると、「知的資本は、人的資本と構造的資本」に分けられるとしている。人的資本は、従業員の変化への対応力と捉えられ、能力、態度、知的敏感さに分けられる。
 一方、構造的資本は、関係、組織、革新と開発に分けられ、ブランド、販売ルート、ノウハウなどがこれに該当する。一般的に、ROEやROS(売上高利益率)等の業績評価指標は、過去の実績を評価するための指標である。これらの業績評価指標の基礎となっている財務諸表に記載されている資産だけでは、将来の競争力を評価することはできない。
 そのため、企業評価を高めるためには、財務諸表に記載されていない将来の競争力の源泉である知的資本を管理することが必要であるという考えが生まれてきた。すなわち、この知的資本管理のバランス・スコアカードでは、将来の競争力の源泉である知的資本を定義し、財務諸表に掲載されない知的資本をバランス・スコアカードの財務的視点以外の視点を使って管理しょうとするものである。