社員満足構造の把握?その2

 やる気の源泉は人それぞれであるから、個々の社員にどのような仕事を与えるか、与え方をすればやる気が高まるのかを把握し、その人に合った適切な仕事を設定していくことが肝要である。この解決策の一つとして考えられたのが、コーチングの技術あり、これは、社員がやりたいことは何かを一緒に考えることが基本となっている。
 その際に考慮しなければならないことは、カウンセリングの役割を上司などの特定の人のみに限定しないことである。なぜならば、もともと上司との折り合いが悪い社員にとっては、心を開いて話し合うことなどできないからである。目標管理制度を導入している企業などでも、十分に起こりえる現象であることから説明がつく。
 次に、社内全体の業務プロセスや仕組み自体の改善についての取り組みであるが、多くの企業で指摘されているのがコミュニケーション不足である。社員の不満解消を目指す場合、一番の元凶となっているのがこのコミュニケーションの問題である。この問題は、社員間や上司との関係にとどまらず、お客様との間の問題でもある。
 このようにコミュニケーション不足がもたらす問題は、社内的な管理システムによって起こるコンフリクトやお客様との直接的なコミュニケーションにまで影響することになる。消費者の不満は常に鬱積していることを考えれば、単に社内的な問題ではなくなってきていることを念頭においた、社員満足を考える改善策が必要になってきている。
 ともあれ、日常の業務にかまけ、社員満足よりも顧客満足を優先させている企業は多いと思われるが、社員もまた顧客であることを思えば、別次元で考えることは的外れであることは言うまでもない。この基本スタンスが欠落していたことが原因で、経営危機を招いてしまったというケースが多いという事実も無視できない。
 一連の改善活動は、改善効果を確認しながら行われることになるが、その測定にはやはりモラール・サーベイを行うことが基本である。これによって、改善施策の妥当性を把握し、その後のさらなる改善活動につなげていくことが可能になるからである。動機づけ要因を喚起するためには、やはり継続的に改善活動に取り組むしかない。