社員満足構造の把握?その1

 社員が業務に携わっている中で、どのようなことを考えているかを把握する手法として、モラール・サーベイがあり、様々な実施機関が独自に開発した方式がある。これらはいずれも、調査票により社員の満足度を構造化して把握しようとしているものであるが、大きく分けると2つのタイプに分類することができる。
 1つは、働く人の満足構造を一般化し、多くの企業で共通に使用できるように調査票に反映させて調査を行うものである。このタイプの調査は、同じ設問(共通の設問)で多くの企業の調査を行うため、他社との比較がしやすいし、コストも低く抑えられる。しかし、一般化された調査票を用いるため、企業独自の問題解決にはフィットしにくい。
 もう一つは、一般化された満足度調査をベースにしながらも、社員のインタビュー調査を併用し、その企業独自の課題について仮説を立てて、これをもって調査表を設計する方式である。その分調査目的に沿った課題を浮き彫りにすることができるが、その分コストが高くつくことになるというデメリットも生じる。
 モラール・サーベイを実施することにより、満足度を構造化できれば、この結果を反映させる形で不満の原因を解消する施策を打ち出さなければならない。ここで注意しなければならないのが、前述の「衛生要因」と「動機づけ要因」である。総合満足度を改善するのに効果が大きい項目に着眼し、改善を図ったとしても必ずしも満足度は改善されない。
 この場合は、満足度を構成する要因の中に「衛生要因」が含まれており、この改善を図ったとしても、肝心の「動機づけ要因」が刺激的なものに改善されなければ、全体の総合満足度を引き上げる原動力にはならない。とはいっても、動機づけ要因は個人の価値観や哲学にもよるので、個人的な働きかけが大きなポイントとなる。
 社員への個別対応としては、社員に対するカウンセリングをどのように行うかが問題となる。「やる気」を喚起する要因は人それぞれであるが、自分のやりたいことをうまく表現できないこともあるし、自分に合った仕事ができることを重視する人や与えせれた目標を達成することでやり甲斐を感じる人もあるなど様々である。