メンタリング・プログラムのデザイン

 メンタリング・プログラムをデザインする場合、まず、明らかにしなければならないことは、メンタリングの目的を明確にすることである。例えば、「コアとなる人材を採用して、その社員を早期に定着させるため、新卒者や中途採用者全員を対象にして実施する」といった目的である。全員を対象とする場合にはメンターの数を考慮しなければならない。
 メンターの適格者が限られている場合は、1対1の関係を確保できないので、プロテジェ一人ひとりに目が行き届かないことになる。プロテジェの決定はメンタリングを行う目的にもよるが、なるべく1対1の関係を確保できるようにデザインすべきである。また、メンターの選定に当たっては、次のような適格要件を基準に行う。
 その適格要件とは、?会社からそのパフォーマンスを評価されている、?会社から見て適切な役割モデルがある、?組織力学を理解し、使い方を心得ている、?自分のナレッジを惜しみなく他者に分け与えることができる、?情緒的な安定、他者に対する共感、?積極的な傾聴、?建設的なフィードバックなどである。
 そして何よりも大切なことは、メンター候補とプロテジェ候補を提示して、お互い自由に選択させることで、インフォーマルな関係に近づける工夫をすることである。つまり、メンターとプロテジェの組み合わせは、単なる数合わせではないので、定員という縛りを前提にプログラムをデザインすべきではないということである。
 また、メンターの質を一定水準にたもつために、キャリア・デベロップメント・プログラムにより、基礎知識の習得やメンタリング・プログラムを実践するための教育が必要となる。こうしたプロセスを経て、メンタリング・プログラムが実際に行われることになるが、その効果を測定するためのモニタリングシステムも必要である。
 例えば、プロテジェに対するインタビューやアンケートを通じて、効果を測定するなどである。その結果、メンタリングにコミットしていないと判断されたメンターには、適切な指導を行い改善させるが、効果の測定はプロテジェのパフォーマンスの推移をみて判断するしかないので、プログラムの修正は軽率に行うのは好ましくない。