メンタリング・プログラム

 メンタリング・プログラムを実施することのメリットは、会社にとってコアな人材のキャリアデザインを効果的に行えることである。メンタリング・プログラムはあらゆる階層のキャリア形成にも活用でき、例えば、新入社員が抱いている過大な期待と現実のギャップを悟らせることによって、現実に即したキャリアデザインの修正を促すなどである。
 また、新任管理職に対しては、その部門に求められる役割やそれに対する対処の仕方などを取得させることで、必要な人脈形成を支援できる。しかし、会社が新卒や中途採用者を投入して組織に活力を与えることを期待しても、職場の悪しき文化に阻まれてしまい、新しい芽が摘まれてしまうことはよくあることだ。
 メンタリング・プログラムは、新卒者や中途採用者が潰されそうな環境から、プロテジェを守ることにより、彼らの能力を最大限に引き出し、組織の新陳代謝を行うことが可能なものにしなければならない。そのためには、旧来型のインフォーマルな師弟関係とフォーマルなメンタリング・プログラムがほどよく調和したものにすべきである。
 メンタリングとは、そもそもインフォーマルな関係の中から、師弟関係として育ってきたという歴史を考えれば、OJTの一環として提供されるフォーマルな仕組みではないが、すべてがインフォーマルな関係にゆだねるというのでは、弊害も大きいというのも事実である。つまり、価値観の押しつけなどによるメンターとプロテジェの組み合わせである。
 したがって、職場の上司を機械的にメンターとして割り当てた場合、メンタリングは機能しなくなる。プロテジェにとって、「この人についていきたい」と思わせるようなメンターでなければ、メンタリングを受け入れる気持になれないからである。実際の職場では、こうした「不幸な組み合わせ」は結構多いことは周知の事実である。
 一方メンターの立場からすれば、メンタリングには相当の負荷がかかるので、プロテジェが手間暇をかけて支援を与えるに相応しい人物でなければ、心情的にもコミットメントすることは難しいと感じるであろう。したがって、自分の部下=プロテジェとされても困惑することになる。この辺がメンタリング・プログラムの難しいところである。