メンタリングとは、経験の豊富な社員(メンター:Mentor)が、経験の少ない社員(プロテジェ:Protege)を育成することである。キャリア上の成功者が多くの「師」と仰ぐメンターとの出会いによって、高度の技術やノウハウが身についたと証言していることは厳然たる事実であり、現在においても全く機能していないというわけではない。
昔ながらの徒弟制度の機能のうち、スキルや知識に関しては、Off JT、OJT、自己啓発の3本柱により効果的に習得できるシステムが体系化されてきたが、メンタリングでは、これらのように仕事を教えるという側面ではなく、メンターがプロテジェの職業的発達の直接的な支援や心理的・社会的支援を通してプロテジェの一人立ちの実現を目的としている。
メンタリングと同様の概念として「コーチング」があるが、こちらは従来の人材育成体系を補完する概念であり、仕事における目標達成やテクニカル面に重点を置いている点でメンタリングと異なる。つまり、メンタリングはキャリア形成機能や心理的サポート機能に重点を置いているものであるという特徴がある。
支援者であるメンターの語源は、ギリシャ神話「オデッセイ」に登場する人物に由来するものであるが、支援の受け手であるプロテジェ(メンテイー)は、「被保護者」や「子分」を意味するフランス語が語源だという。メンターは、プロテジェと直接的な相互作用関係を結び、その才能を理解して能力を引き出し、真価を発揮できるよう支援する。
また、キャリア形成上の役割モデルとして認知されることが求められるため、特定の組織や環境において際立った経験や影響力を持っていることが必要である。そのため、新入社員や若手に中堅社員を割り当てるブラザー/シスター制度とは異なり、組織内で有能と認められるマネージャークラスをあてることが望ましいといわれる。
といっても、直属の上司である必要はなく、他部門のマネージャーであっても差支えはない。プロテジェは、新入社員に限ったことではなく、組織における新任者、配置転換により新たに任命されたもの、組織におけるマイノリティなどのいずれかに該当すれば、メンタリングにおけるプロテジェになるわけである。
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