仮説とは何か

 仮説とは、経験や少ない情報を組み立てて、気づきやひらめき、推理力などを総動員してつくり上げた「仮の結論」とでも言うべきものである。したがって、この結論は検証されることによってどんどん修正され精度の高い結論に高められていく。この一連の過程が仮説・検証モデルであり、このサイクルを回すことでより意味のある意思決定を目指す。
 例えば、「過去の経験則からして当社の新製品は、発売後数週間で市場シェア○○%まで高めることは可能である。」といった仮説を立てたというような場合、実際の市場展開において、立証されれば仮説が結論と一致したことになるだろうし、検証の結果に差異が生じれば、仮説は修正されなければならないことになる。
 仮説思考とは、「仮説」を設定して仮の結論から、先に考える思考法である。この思考方法の優れているところは、精度を後回しにして結論を先に読み取ることにより、結論に早くたどり着けることが最大のメリットである。時間的制約がある情報を厳密に調査・分析して考察することにより、意思決定をするとすれば、あまりにも手間隙がかがり過ぎる。
 仮説思考とは、時間と労力を最大限に節約するために便利な思考様式であり、あらゆる意思決定に有効やり方であるが、意外にも、通常は情報を積み上げて結論を出す方式が多く用いられている。しかも、仮説・検証サイクルを回すことにより、問題解決のプロセスが最短距離になるため、調査・分析も絞り込める。
 仮説思考は精度を犠牲にしてでも、仮の結論を設定する技術であるから、時として論理性に欠けている場合もあり得る。そこでこれを補完する思考としての「論理思考」がある。この考え方は、精度を重視して筋道を立てながら確実に進むで、仮説思考とミックして補完しあうことがより効果的であるともいえるわけである。
 ところで、ここで誤解してはならないことは、仮説思考は精度が低いからといって、単なる憶測やヤマカンとは違う。与えられた情報を元に組み立てる「仮説」は、それ自体論理的であることが求められるから、仮説を設定する時点から論理的思考と補完関係にあるのであり、検証のためにだけ論理的思考が活用されるものではない。