新規顧客開拓のポイント

 新規顧客開拓のための営業といえば、飛び込みセールスなどといわれるアポなしで一般家庭や事業所を訪問することをイメージするが、現代ではこうしたスタイルの営業は殆ど影を潜めている。代わって登場したのが電話セールスであるが、アポを取りつけるための手段としては不十分であると言わざるを得ないようである。
 近年よく行われている方法は、展示会やセミナーなどにより興味を喚起し、見込み客をあらかじめ抽出しアプローチをかけるというやり方である。この場合も、資料の事前送付や案内を先行させなければならないので、何らかの意味でいわゆるプル作戦を先行させなければ、営業マンの活動が非効率なものになってしまう。
 プル戦略は商品の性格とメディアミックスの組み合わせにより、最も効果的かつ効率的なものを選択することになるが、営業マンの活動はプル戦略ではカバーできにくい、消費者ないしユーザーのブラックボックスに光を当てることにある。すなわち、ニーズの共通性に訴えるのがプル戦略で異質性に訴求するのが営業マン役割である。
 品質や性能が比較的安定している規格品などは、プッシュ戦略よりもマスメディアを活用することで購買意欲を刺激できるから、営業マンの出番はあまり必要ないことになる。ただし、一般の消費材のように店頭販売に馴染むものとして位置づけるかどうかは、消費者の購買態度や購買行動によっても異なる。
 例えば、化粧品などはその共通性に着目すれば、効能効果をテレビCMなどで訴えるというプル戦略で十分なので、この場合は販売チャネルを拡大することで販売促進を展開することになるが、お肌のケアーという個別のニーズで市場を規定すると、流通チャネルを拡大もしくは強化するだけでは購買に繋がらないであろう。
 営業マンがきめ細かく顧客ニーズを掘り起こすためには、顧客の異質性によってセグメントされた独自の課題を探索するシナリオを作らなければならないが、この段階で終わってしまっては意味がないわけで、差別的優位性をどのように構築し、魅力ある商談に育て上げるかが、営業マンの新規顧客開拓のポイントである。