ルート営業のポイント

 ルート営業は法人対象であることが多いものと思われるが、継続的取引を前提としているため、アポを取って顧客を訪問することは無いように思われる。特に、配送業務をかねている場合などは、改めてアポを取らなくてもキーマンにも会えるため、商談をつくる新鮮な雰囲気が希薄になってしまうということもある。
 年間の取引額が大きい場合などは、それが営業の効果によるものと勘違いしてしまい、新たな課題を見つけ出す意欲が減退してしまう。これでは営業マンとしては失格であるはずなのに、なかなか本来の 営業活動に戻そうとしないで、御用聞き型の営業を延々と続けていると、営業マンの存在感が次第に薄れてしまうことになる。
 ルート営業のメリットは、顧客が発する情報を確実にキャッチできる立場にあるということであるから、このメリットを生かして仮説を立てることで、より適切な情報発信が可能になるということである。固定した得意先に対して、常にアポを取るのは非現実的ではあるが、マンネリ化を防止するためにも、商談を作る姿勢は保たなければならない。
 営業マンが御用聞き型の営業に陥ってしまうと、販売することが目的化してしまい、アポを取ることを中心とした営業スタイルが苦痛になり、販売促進を主体とした営業に終始するようになる。このスタイルは相手のニーズや課題解決とかけ離れたものであっても、強引な売り込みで目標の達成を目指すため成果は期待できない。
 日々の取引を通じて得意先の課題を抽出し、この解決に有効と思われる情報を発信することで興味を引き出す。その程度によって更なる情報を提供するという流れを作る。この段階に達した案件を多く抱えていることが商談を実りあるものにする段取りであるから、単なる販売促進よりも成約率が高くなるのは自明の理である。
 仕事は段取りが8割と言われるのは正にこのことを指しているもので、相手の心理状態を無視してストレートに提案をしても、評価軸が定まっていなければ、ガードを下げさせるまでの効果は期待できない。営業マンが発した情報に得意先が反応し、課題解決の必要性をリアルに意識する状態に誘導すること、これが営業マンの中核的業務である。