商談の作り方?その2

 ボタンのかけ違ならば最後には気がつくことになるであろうが、思い込みは中々気付きにくいようである。優秀な営業マンとそうでない営業マンの違は、客観的に見ると才能など資質面の相違によると思われがちであるが、実は心掛けの違が大きく影響していることが多い。それだけに、本人の思い込みが激しい場合はそれだけ立ち直りも難しい。
 優秀な営業マンは、「いかにお客様のニーズを見つけるか」そして「いかにして商談に結びつけるか」ということを常に意識しているが、成績の芳しくない営業マンは、「当社の製品は高いから売れるわけがない」、「不景気だから売れないのは当然だ」と思い込んでいる。この差が全ての行動に影響し、営業成績に大きな差をもたらすことになる。
 しかし、本人にしてみれば自己の考え方に基づいた行動から、抜け出すことが出来ないまま、自説を正当化することに終始するため、あらゆる説得にも耳を傾けようとしない。しかし、こうした状況を放置してきた上司の責任は重く、少なくとも、上司自身の目標を達成できなかったという責任を取らければならない。
 目標管理制度では、営業マン個人の裁量を尊重し、成果の測定も個人に任せるのは原則であるが、その責任は他人には転化できないことが原則である。さらにいうなれば、組織としての戦略枠組みに添えない部下が存在している場合、これを容認してきた上司の責任はそれ以上に重いと言わざるを得ないというのがルールである。
 モラールサーベイの分析結果などから見ても、能力や素質よりも取り組み姿勢が大事であることは明確に表われている。営業マンのやる気次第で、全てが決まると言っても過言ではないほど、攻めの姿勢があれば、自社製品の強みと顧客の課題を結びつける糸口を見つけ出せる。これが営業という仕事の最大の特徴なのである。
 自社や自分の強みをよく理解していれば、その強みを誰のどのような課題解決に寄与できるかが見えてくる。これらを見込み客という括りで整理して優先順位をつけ、どのような作戦でアプローチするかを考える。これを元に情報発信することでどのような課題が潜んでいるかを確認する。ここまでが商談を作る段取りである。