商談の作り方?その1

 主に法人を対象とした営業のルートセールスの場合、営業マンの行動は御用聞き型になりがちである。法人営業の場合は継続的に取引することが前提であるため、得意先に顔を出すことで何らかの引き合いがあるため、一定量の売上が保たれていると、営業マンの活動が功を奏していると勘違いしてしまうことがある。
 もちろん、自社にとっては固定客の存在は、安定した売上に繋がるので望ましいことではあるが、こうした御用聞き型の営業を続けていると、自然に存在感が薄くなり、競合他社の攻勢にあうと、たちまち価格競争に巻き込まれてしまう。こうした場合、「当社は価格が高いのだから、とられても仕方ない」という理屈になってしまう。
 何故このような価格競争に巻き込まれたかさえ、考える力が衰えていることにも気づかず、価格競争を仕掛けた競合他社を非難することで、自己満足をしている場合もある。得意先から見て、自分はそれほど頼りない存在であったことを悟らなければ、いつでもこうした価格競争にさらされているはずなので、自社の収益力の向上には寄与しない。
 先任者の努力により、折角構築した人間関係を発展させることなく、御用聞き型の営業に終始していたため、言われたことしか出来ない営業マンに頼りなさを感じるのは、営業における得意先ならずとも、当然の結果というべきである。しかし、営業マンに言わせると、自社の商品力が弱いことへも言及して、なおも弁解を繰り返す。
 しかし、世の中にはおよそ欠点のない商品などは存在しないし、同様に何らかの形で差別化できない商品もまたない。現に、程度の差はあっても売れている事実がある以上、何らかの差別を顧客が感じているわけであるし、もし本当に差別化できないのであれば、製品改良や新製品が導入されるはずで、差別化が出来ないなどというのは詭弁に過ぎない。
 トップセールスと言われる人は、何らかの形で差別化を図り、価格競争を回避していることが確認される。当然その背後にあるのは情報発信を常に心がけ、得意先の課題解決には欠かせない存在になっているということである。つまり、トップセールスマンとは商談をつくる前の段階で、商談に結びつく種をせっせとまいている人なのである。