人脈づくり

 新規に顧客を獲得しようと思うと、まず相手先とアポを取りつけるという関門を突破しなければならない。これが意外に難しいことは多くの営業マンが実感していることである。第二段階としての商談に漕ぎ着けたとしても、成約にまで到達するのは至難な業であるが、人脈が活用できる場合は、相手のガードを下げる意味でも多くナメリットがある。
 しかし、「ローマは一日にしてならず」というように、営業活動の過程で自分の存在感を高めなければ、良好な人脈は形成されない。キャリアを積み重ねることで自然人脈も広がることになるが、ただの知り合い程度ではあまり追い風にはならないから、ここぞと思う場面では、強力に自分の強みをアピールしなければならない。
 パーティや会議など多くの人が集っている会場では、よく名刺交換をする光景が見られるが、通常はただの儀礼的行為に止まり、深い付き合いに発展する可能性はそれほど高くはないであろう。しかし、このチャンスを生かし、自分の強みをしっかりと印象付け、相手の課題解決に結びつけている人も結構いるようである。
 営業マンならずとも、人脈の形成はそれなりに武器となるので、あらゆる機会に自社や自分をアピールすることは意味のあることであるが、成り行きに任せていると、何時しか名刺の山が出来上がり、これを整理するだけでも苦労する。これらの出会いを人脈に育てるためには、どのような工夫をすればよいのだろうか。
 方法は色々あるだろうが、現在の人脈状況を何らかの切り口で棚卸をしてみるのも有効であると思われる。この場合の切り口とは、例えば仕事と趣味、得意先のトップ層と現場などに分類して、2次元空間に人材をプロットしてみる。そうすると、現在の人脈がどの程度偏っているか、あるいは均衡しているかが明確になる。
 この点グラフを眺めながら、自分が何をしたいのか、そのためにどのような情報を収集すべきなのかを考えてみる。と同時に自分のポジションも把握できることになるので、人脈の活用方法や偏りを修正する取り組み方法が見出せる。つまり、どの人脈を強化すべきかが一目瞭然になり、より高度な仮説(行動規範)が設定できる。