クレームの合理的な解決策

  クレームはないに越したことはないが、どんなに注意しても皆無にすることは出来ない。しかし、クレームの発生を予測してあらかじめ対策を講じておくことで、得意先のリスクを最小限にくい止める努力は怠ってはいけない。クレームが発生した場合、特に注意しなければならないことは、相手の感情を逆なでしてしまい話がこじれてしまうことである。
 クレームを合理的に解決するためには、原因の究明が先決だが、顧客の剣幕に圧倒されて闇雲に謝罪してしまうことはよくある。一旦クレームが発生すると、時間との戦いになるので、まず顧客の業務を第一に考え、場合によっては緊急避難的対処も必要になるかもしれないが、自社のリスクも勘案して対処しなければならない。
 クレームの処理は、可及的速やかに対処しているという姿勢が相手に伝わらなければ、誠意がないとみなされ、例え、相手方のミスにより生じたものであったとしても、なかなかその非を認めないという状態になってしまうこともある。こうした場合には、自社の上司と得意先との間で営業マンが板ばさみになることもある。
 クレームの生じた原因を科学的あるいは論理的に解明することは可能であるとしても、感情論に発展してしまえば、どちらが正しいかという問題ではなくなり、お互いに積み上げてきた信頼関係は地に落ちてしまう。クレーム処理はこうしたしこりを残さないためにも、迅速かつ合理的に行わなければならないものである。
 クレームが発生したこと自体、相手方にとっては想定外であるわけなので、どんなに迅速かつ適確に処理したとしてもある程度は不満が残るが、営業マンとしては絶対に逃げないことである。取扱い上の不注意などを指摘して責任を回避する姿勢は相手からは評価されにくいが、誠実な対処の仕方は信頼感をますことに繋がる。
 誠実な対応とは、一次対応を専門スタッフに振ってしまわないこと、お客様の話をまず聞かずに原因の特定に入ってしまわないこと、現場に行かず電話で済ませようとしないこと、お客様の不満が解消されたことで、満足してしまわないこと、責任回避に終始し本筋から外れた弁解を繰り返さないこと、などがポイントとなる。