クロージングの潮時を読む

 商談が比較的スムーズに進行し、顧客とのコミュニケーションも良好であるのに、なぜか成約に結びつかないといったケースをよく耳にする。営業マンの説明によると、これまでの面談で、自社の製品を購入することにより、課題解決がどれだけ図られるかも十分検証したし、メリットやデメリットについても再三に亘り話合ってきたというのである。
 この原因で思い当るのは二つのケースだ。一つは、営業マンの技量が不足しいるため、相手の本音に踏み込んでいない場合である。この場合は商品の価格や支払方法にギャップあることが考えられる。もう一つは、話がマンネリ化してしまい、クロージングのタイミングを逃してしまったというような場合が考えられる。
 前者のケースはよくあることなので、商談が最終段階に入る前にそれとなく相手の要求水準を確認しておくしかない。相手によってはあからさまに支払条件の提示を求めるが、予算があまりにも少ない場合は、敢えてそのことに触れないようにしているということだってある。その辺の心理を逸早く察知いるものセールス技術である。
 後者の場合は、明らかに営業マンのシナリオが貧しいことによって起きるといわざるを得ない。営業マンが相手にアポを取り、商談に漕ぎ着けてプレゼンをするということは、どのようなことが最終目的で、それをどのようなプロセスで進めるべきか、あらかじめシナリオを描いておくべきであることは説明の余地はない。
 営業マンの意識が明確な意識によって支えられていれば、クロージングのタイミングを逸してしまうことなど考えられない。商談の機が熟してきたことを察知できる立場にある唯一の人である営業マンが、このタイミングを掴めないというのは、話の成り行きに身を任せていたためであるといわれても仕方がないであろう。
 商談に限らず話が佳境に入れば、次のステップに映るタイミングは必ずあるはずで、このときは、相手にも強烈なサインを送ることで、話のラウンドが変ったことを印象づける工夫をしなければならない。例えば、契約書の用紙をカバンから取り出して、相手の意識をクロージングに向けて誘導するなどそれである。