価格を巡る攻防はクロージングの直前では主題になるのは当然であるが、不用意な値引きは不信感のもとになるので、慎重に対処しなければならない。予算の大枠を確認するのはそのためであるが、得意先の課題が見えない状態では価格以前の問題なので、しばらくはキャッチボールを繰り返しながら、落としどころを探ることにならざるを得ない。
この段階で相手の要求水準が明確になれば、予算に合わせて見積もりすることができるが、現実にはそう簡単には本音が見えてこない。そこで相手の要求水準を推理し、買う気を誘うように水を向ける場面を作らなければならない。つまり、機が熟したと判断されるタイミングを確実に捉えることが重要な意味をもつ。
物事はすべからくそうであるように、急いてはことを仕損じるとはいうものの、マンネリ化してしまうと、情熱が醒めてしまい意思決定のタイミングを逸してしまうこともある。営業マンがグッドタイミングを見つけ出すのは難しいが、話の成り行きに任せていては、中々そのチャンスは巡ってことないように思われる。
相手の課題を確かめると同時に要求水準がつかめれば、あとはどのような手段で課題解決を図るかという、よりリアリティのある話になってくるはずだ。この場面で営業マンがなすべきことは、相手の課題と自社が提供できる解決策のセットを、再整理して解かりやすい選択肢にして提示しなおすことが重要なポイントとなる。
具体的に言うと、不安と解決策のセットを明確に提示するわけである。そうすることの意義は、相手の心の中にある漠然とした悩みを、費用対効果という経済的合理性で評価する手伝いをするというところにある。このプレゼンテーションがよく練られたものであれば、クロージングに限りなく近づくことになるであろう。
この辺のタイミングの取り方が粗雑だと、所詮は売り込むための便法に過ぎないという心象に逆戻りさせてしまう。このように、百年の恋も一気に冷めるようなセールストークでは、どんなに美辞麗句を盛り込んだとしても、相手の心を動かすことはできないはずなのに、相変わらず「モミ手」が唯一の武器であると信じて疑わない営業マンは多い。
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