競合他社との差別化のチャンス

 企業のビジネスモデルは、業種・業態によって異なるばかりではなく、その企業独特のモデルがある。例えば、化粧品業界などに見られるように、同種の商品を取り扱っているのに、経営戦略によって流通チャネルの選択のしかたが全くことなるのは、市場をどのような切り口で細分化するかという根本的な問題と深く関わっている。
 営業マンの競争力も、自社がどのような市場において強みを発揮しようとしているのかを十分に認識していなければ、競合相手の戦略を把握できないから、顧客に対するアプローチも商品の品質や価格以外の特徴を武器にできない。そこで、いきおいキーマンの上にすがった販売促進活動を展開されることになるわけである。
 旧来型のこうした戦術も、決して否定するものではないが、顧客の課題解決が最終目標であるならば、かなり強引なやり方であるといわなければならない。ベテランと称される営業マンが、かつてのような販売成績を残せなくなっているのは、こうした人的販売促進型から抜け出せないケースが多いように思われる。
 コミュニケーションが良好であるということは、それ自体価値あることであるが、個人的な相性だけで成約できるものではないので、顧客のビジネスモデルをよく理解し、その上で解決すべき課題を把握することが求められる。そのことにより、競合他社との差別化のチャンスも、おのずから明らかになってくるのである。
 販売成績が上がらない営業マンの話を聞くと、売れなくなった理由はそれなりに分析しているが、どの営業マンにも共通しているのは、顧客の中核的課題は何か、そしてそれを解決するために自分や競合他社がどのようなアプローチをしているのかは、殆ど把握していない。つまり、現状を受け入れているだけなのである。
 宝の山に近づいただけではお宝を掘り出したことにはならない。どのような方法で宝を掘り出すかのヒントをそこから見つけ出さなければ意味がない。キーマンとの会見に漕ぎ着けただけで、得意先の課題を引き出す効果的なヒアリングができなければ、競合他社との差別的優位性をプレゼンテーションに盛り込むことはできない。