私的整理ガイドライン?その5

 事業再建計画案は、事業計画案、資金調達計画、債務弁済計画が盛り込まれることになるが、このうち、事業計画案は、経営が困難になった原因、事業再構築計画の具体的内容(経営困難に陥った原因の除去)、資本の投入による支援や債務の株式化等を含む自己資本の増強策、資産・負債・損益の今後の見通し(10年間程度)などを内容とする。
 債務弁済計画には、再建計画が成立したとして、その後に最初に到来する事業年度の開始日から3年以内に実質債務超過が解消でき、かつ経常黒字を達成することを内容とする。また、対象債権者の債権放棄を受けるときは、支配株主の権利を消滅させることを原則とするほか、債権放棄を受ける企業の経営者は退任することを原則とする。
 次に、再建計画案における利害関係の調整についてであるが、債務者間で平等であることを旨とし、債権者間の負担割合については、衡平性の観点から、個別に検討すると、破産的清算や会社更生法、民事再生法などの再建手続によるよりも多い回収率を得られる見込みであるなど、対象債権者にとって経済的合理性が期待できることを内容とする。
 主要債権者(債権者委員会が設置されたときは再建者委員会)は、第2回債権者会議に先立ち、対象債権者全員に対し、再建計画案の妥当性と実現可能性などについての調査結果を報告する。第2回債権者会議では、この報告及び債務者に対する質疑応答、並びに再建計画案に対する出席対象債権者間における意見交換を行う。
 第2回債権者会議においては、対象債権者が書面により再建計画案に対する同意不同意を表明すべき期限を定める。対象債権者全員が再建計画案に同意する旨の書面を提出した時に再建計画は成立し、債務者は再建計画を実行する義務を負担し、対象債権者の権利は、成立した再建計画の定めに従って変更され、対象債権者は、猶予・減免など再建計画の定めに従った処理をする。
 再建計画案の一部を変更することなどのために、第2回債権者会議を続行する必要がある時は、その続行期日(開催時間場所を含む)を定めることができる。続行期日においてこれらの議事を行うが、この定められた期限までに対象債権者全員の同意が得られなければ、ガイドラインによる私的整理は終了し、債務者は法的倒産処理開始の申立てなどの措置をとらなければならない。