私的整理ガイドライン?その3

 対象債権者全員および債務者は以下の事項を差し控えることになる。?債務者が、通常の営業過程によるものの他、特に債権者会議またはその付託を受けた債権者委員会が許可したものを除き、その資産を処分したり、新債務を負担すること。?債務者が、一部の対象債権者に対する弁済(代物弁済を含む)や相殺等の債務消滅に関する行為、または物的人的担保の供与を行うこと。?対象債権者が、弁済を受け、相殺権を行使する等の債務消滅に関する行為をなし、追加の物的・人的担保の供与を求め、担保権を実行し、強制執行や仮差押え・仮処分や法的倒産処理手続の申立てを行うこと(ガイドライン6)。
 一時停止期間中に、債務者または対象債権者が上記に違反することにより、私的整理手続を進めることが困難になった場合は、債権者委員会または債権者委員会がない場合には主要債権者の協議により、私的整理を終了させることになる。一方、一時停止期間中も債務者は営業を継続しているため、追加融資を必要とする場合もある。
 このような場合には、債権者会議の決議、またはその付託を受けた債権者委員会の決定に基づいて、追加担保設定等を行うことができる。一時停止は、破産法上の支払停止と異なり、私的整理ガイドラインの対象債権者のみを対象としているため、銀行取引約定書等において定める期限の利益喪失事由として取り扱わないこととされる。
 この対象債権者には、公的金融機関も含まれるが、国税当局等は対象とならないので、これらの債権者による預金差し押え等の法的手段がとられる場合がある。そのような場合まで、金融機関による相殺禁止を求めているものではない。また、債務者の連帯保証人や物上保証人が差し入れた不動産等への担保権の実行も可能である。
 第1回債権者会議は、主要債権者のうちの一行が議長となり、議事進行を行うことになる。第1回債権者会議では、債務者が対象債権者に対して再建計画の内容を説明し、第2回債権者会議の後に、対象債権者による当該再建計画案の同意を求めることになる。したがって、対象債権者は第2回債権者会議までに再建計画案に同意するかどうか検討がいる。