私的整理ガイドライン?その2

 債務者からの申し出を受けた主要債権者は、債務者から提出された資料等に基づき、次のような事項について検討した上で、「一時停止」の通知を発することの妥当性を判断する(ガイドライン4)。?私的整理ガイドラインの対象者の要件を満たしているか、?再建計画案につき対象債権者の同意が得られる見込みがあるか、?再建計画案の実行可能性があるか、などである。
 主要債権者が複数ある場合には、その全ての合意がなければ、一時停止通知を発することができないので、この場合には、私的整理ガイドラインに基づかない私的整理あるいは法的整理に移行することになる。一時停止とは、対象債権者による個別的な権利行使(預貸相殺・弁済受領等)や債権保全措置(追加担保)を差し控えることを求めることである。
 私的整理を申し出るということは、債務が過剰であるということであるから、そのまま放置すれば信用不安に陥り、それぞれの金融機関は債権保全に走り始める事が予想される。それを認めてしまうと、再建に必要な資産が担保処分されることにもなるので、資金繰りは更に悪化してしまい、法的整理を余儀なくされる。
 こうした状態に立ち至ってしまうと、その後のガイドライン手続に支障をきたすため、一時停止が発せられた日における与信残高を一定期間維持することを対象債権者全員に求め、手続を円滑に進めようとするものである。なお、この場合の一時停止は、約定金利の弁済については、通常は禁止されていないもの解される。
 主要債権者全員が一時停止の通知を妥当と認めた場合は、主要債権者および債務者は連名で対象債権者全員に対して、その通知を行う。この通知書は、対象債権者向けの「第1回債権者会議」の召集通知をかねたもので、前述の説明資料を添付することとなっている。「第1回債権者会議」は、一時停止の通知から2週間以内に開催することになっている。
 この期間に債務者は対象債権者に対して、再建計画案の内容等を説明し、理解が得られるような活動を開始しなければならない。一方、債務者は営業を継続しているわけであるから、対象債権者全員および債務者は、一定のルールを守らなければ、たちまちこのスキームは崩壊してしまい、他の自力再建の道も狭められる危険性もある。