事業譲渡の会計・税務処理?その2

 圧縮限度額の算定方式は、交換取得資産の時価:A、(交換譲渡資産の簿価+譲渡経費):Bとすると、通常の場合はA?Bとなり、交換差金を受領した場合は、A?B×A/(A+交換差金)、交換差金を支払った場合は、A?(B+交換差金)となる。また、事業譲渡は、資産の譲渡等に該当するため、資産の中に課税資産があれば、消費税が課せられる。
 ただし、当該消費税額を仕入税額控除することが可能なので課税売上割合が95%以上の場合は両者の実質的な税負担は生じない。譲渡資産のうちに不動産がある場合、不動産登記が必要となり、登録免許税が課せられるほか、不動産取得税も課せられる。このように株式譲渡とは異なり、事業譲渡の場合は個別処理を伴うことを考慮する必要がある。
 事業譲渡とする範囲の違いで、その事業の全てを譲渡する「全部譲渡」と一部を譲渡する「一部譲渡」に分けられることは前述の通りであるが、いずれの場合でも、会社そのものを譲渡するわけではないので、仮に全部譲渡したとしても株主や経営者は変わらないわけであるから、事業譲渡した会社自体は存続することになる。
 そのため、経営危機に陥った会社が、事業を継続することにその事業を他の企業に売却するといった場合にも活用される。株式譲渡では、株式の譲渡を受けた会社は、株式を譲渡した会社の負の財産まで丸ごと引き受けなくてはならなかったが、事業譲渡の場合は、会社の正の財産(良いところだけを切り取って)だけを引き継げる魅力がある。
 企業再生の対象となるような多額の借入金を負っている企業にとって、財務内容の悪い事業そのものは悪くないといった場合には、事業を存続させるためにその事業だけを全部譲渡し、それによって得た資金で残った会社の再建や債務整理を行う場合にも有効であるが、一般的にはそうした認識で運用されることが少ないのが現実である。
 事業譲渡の対価は通常、その事業のDFCによる評価に基づいて決定される。したがって、その計算の基礎となる譲渡対象企業の今後の事業計画の作成が重要な意味をもつ。事業譲渡した会社は、負の財産を事業譲渡によって得られた資金で債務の整理を行い、再建を目指すことになるのだが、その場合はかなり縮小した経営を迫られることになる。