株式譲渡や増減資は、企業再生や組織再編という面から言えば、手続き的には最も簡単な手法である。収益性の低い事業を行っている子会社の株式を譲渡することで、当該子会社および事業を切り離したり、累積欠損により財政状況が悪化している会社に対して、減資による欠損補填や増資によるニューマネーの導入を行う。
しかし、これらの方法は、事業単位ではなく会社単位で実施することになるから、事業譲渡や会社分割の手法とは異なり、企業再生や組織再編のためにニューマネーを投入する側にとっては、簿外債務を遮断できないという大きなデメリットがある。したがって、簿外債務のリスクの高い再生案件ではそのまま株式譲渡や増減資だけでは対応しにくい。
簿外債務が制度的に排除されている会社更生法や民事再生法では、100%減資を行って現株主の責任を明確にした上でスポンサーによる増資を行い100%の子会社とするスキームが多く用いられる。企業再生においては、債務超過に陥っていることを想定すれば、何らかの形で減資を行い、既存の株主の責任を明確にする措置がとられるのは当然である。
法的整理に入っていない場合は、100%減資は不可能なので、このような場合には99%減資したうえで、既存の株主の持分を希釈化させる措置がとられることがある。その上でDESやニューマネーの投入が行われる。主な特徴としては、株式を譲渡するので、その会社に属している財産、負債、権利義務、従業員等を包括的に継承する。
会計・税務的には、譲渡価額と帳簿価額との差額が譲渡損益として、譲渡する株主において認識され、譲受側(新株主側)では当該譲渡価額を帳簿価額として計上する。事業譲渡とは異なり、営業権は認識されない(連結においてのみ連結調整勘定として計上される)。合併とことなり、対象会社の独立性維持が可能である。
規模の異なる会社を吸収合併するという形をとると、従業員の処遇面や諸規程の改定も一気に行う必要があり、個別企業としての魅力が損なわれてしまう虞もある。こうしたことを想定すると、当面は子会社として独立性を認め、時期を見て馴染ませるという方法をとることが、望ましいと判断されることは大いにあり得ることである。
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