事業譲渡の会計・税務処理?その1

 事業譲渡は、時価による取引であるから、譲渡会社においては、譲渡対象の資産・負債の簿価ネット額と譲渡時価との差額が事業譲渡損益として計上される。また、譲受会社においては、各種引当金を引き継ぐことはできず、譲受対象の資産・負債は時価で受入処理されるが、譲受時価と資産負債の時価ネット額との差額は、営業権として計上される。
 営業権の会計処理については、商法により5年以内で毎期均等償却することが求められる。次に法人税法上の事業譲渡の扱いについてであるが、事業譲渡は資産の譲渡とみなされるため、譲渡会社においては、事業譲渡時価と譲渡対象資産・負債の税務価格との差額が損益として事業譲渡時にすべて実現することとなる。
 譲受会社においては、各種引当金を引き継ぐことはできず、各種資産・負債は税務上の時価で受入れられることになり、事業譲渡時価が資産・負債時価を上回った場合の差額が営業権として認識される。営業権の認識については、それが合理的な基準で行われており、それによって税務課税上の公平性が損なわれていない場合には認められる。
 しかし、超過収益力があると認められないにもかかわらず、譲渡会社の繰越欠損を利用するために譲受会社において営業権を計上し、実質的に繰越欠損金の引継ぎや期限切れを延長しているとみなされる場合には、営業権の認識が否認される可能性がある。なお、法人税法上、営業権は5年で均等償却することとされている。
 事業譲渡が適正な譲渡価格で行われた場合(低廉譲渡、高額譲渡)、適正な時価との差額につき利益を得た方は受贈益課税され、損した方は寄付金認定がなされ、法定限度額につき損金に算入される。事業譲渡はグループ会社間で行われることが多いが、グループ内での事業交換で合理化を図る場合は一定の要件を満たしていれば優遇措置がある。
 税務上固定資産等の交換取引において、圧縮記帳制度により課税の繰り延べが認められているのは、?当事者がその資産を過去1年間以上保有していたこと、?交換資産を同一用途に使用すること、?交換差金が20%以内であること、?簿価の付け替えもしくは損金経理による差益の圧縮であり、決められた圧縮限度額の算定方式がある。