事業譲渡に関する規制?独占禁止法

 事業譲渡は、公正な取引の確保に重大な影響を及ぼすため、独占禁止法による規制を受けている(独占禁止法16条)。従来は、会社の規模にかかわらず公正取引委員会に対して事前に届け出る必要があったが、1998年の特選禁止法の改正らより、届出を要するのは、総資産100億円を超える会社が、総資産10億円超の他の会社の事業の全てを譲り受ける場合、及び売上高10億円の事業の重要部分等を譲り受ける場合に限られることになった。
 合併と同様に、売買当事会社のいずれかが公開会社の場合には、商法や会社法だけではなく、独占禁止法、証券取引法の規制(臨時報告書や有価証券通知書の提出等)や証券取引所における規制(適時開示規則に基づく開示等)を受けることになる。事業譲渡は経営不振に陥った企業が最も活用される頻度が高い手法であるといわれる。
 そのため、経営不振企業が行っている事業のうち、いわゆる「良い事業」を新たな担い手に移転させたり、逆に将来性のない事業を売却したりするときに用いられる。その最大の特徴は前述のとおり、会社分割とは異なり、資産・負債・契約等を個別に移転いるため、簿外の負債を引き継ぐことがないことである。
しかし、全てを個別に移転するため、事務作業が煩雑でコストや時間がかかるというデメリットもある。企業再生案件では、業績不振企業が偶発的に発生した債務を抱えていることが多いとすれば、そうした債務を引き継がないというメリットは大きいし、引き継ぐ資産・負債・契約を自由に取り決めできるという柔軟な対応ができる。
 事業譲渡の場合も、基本的には株主総会の特別決議が必要であるため、如何にして株主総会の特別決議を得るかが大きな問題である。しかし、前述のように簡易組織再編の特例(会社法467条1項2号かっこ書き)及び略式組織再編制度(会社法468条、784条1項、796条1項)により事業譲渡における株主総会の特別決議が不要になった。
 なお、これら会社法の規定は、産業活力特別措置法の認定計画に従って行う事業譲渡における規定を会社法にもそのまま適用することとしたものである。総会決議を必要としない簡易譲渡の要件が緩和されたことにより、再生スキームを選択する場合、「株主総会特別決議問題」の解決策として活用されることが期待される。