事業譲渡に関する規制?商法、会社法

 事業譲渡ないし事業譲受について、旧商法では、営業の全部又は重要な一部の譲渡・全部譲受には株主総会の承認が必要(旧商法245条1項1号、3号)とされており、事業の全部譲渡の場合、譲受対価が譲り受ける会社の純資産額の20分の1を超えないときは株主総会の承認は不要とされていた(旧商法245条の5第1項)。
 会社法では、事業の一部の譲渡の場合、譲り渡す資産の帳簿価格が当該株式会社の総資産額の5分の1を超えないとき(会社法467条1項2号かっこ書き)、事業の全部譲受の場合、譲受対価が純資産額の5分の1を超えないとき(会社法468条2項)は、株主総会の承認は不要となったほか、略式組織再編制度(事業譲渡を含む)が新設された。
 会社法では、支配関係にある会社間での組織再編行為、事業の全部又は重要な一部の譲渡および事業の全部譲受については、株主総会の承認は不要となった(略式組織再編制度)。ここで、支配関係にある会社間とは、議決権の9割以上を会社単独又は100%子会社等と共同で保有している場合などの親子会社間をいう(会社法468条、784条1項、796条1項)。
 事業譲渡を行う場合の手続きとしては、?事業譲渡契約の締結{事前に事業譲渡に関する基本合意(一種の予約)が別途交わされることもある}。?株式会社では、事業の全部又は重要な一部の譲渡、他の会社の事業全部の譲受けには、株主総会の特別決議による承認が必要(旧商法245条、会社法467条1項1号、309条2項11号)。?案件によっては、公正取引委員会への届出(独禁法)や主務官庁への届出、許認可等(特別法)が必要になる。?譲渡の実行手続き、対抗要件の具備、などである。
 実際に事業譲渡が完了し、その効果が発生するには、事業財産を移転させることが必要であり、それには財産毎に個別の移転手続きが必要であり、かつ、対抗要件を具備することが必要である。その他の留意点としては、事業を譲渡した会社(譲渡人)は、競業避止義務を負うことになることである(旧商法25条、現商法16条)。ただし、契約によってこれを免除することもできる。
 また、事業を譲り受けた会社(譲受人)が、譲渡人の商号を継続して使用する場合には、譲受人は、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済するなどの第三者保護のための制度が定められている(旧商法26条?29条、現商法17条?18条)。さらに、事業譲渡に反対する株主には、会社に対して自己の株式を買い取るように請求する権利が認められていることにも留意しなければならない(旧商法245条の2?4、会社法469条?470条)。