職場システムのモデル化

 経営管理の流れをシステム的に捉えると、経営理念を具体化する過程で経営計画が策定される。この計画の中身は外部環境への適合と内部資源の効率化ということになるが、これを職場システムに当てはめて考えたとき、職場の管理者はこれをどのようなシステムとして捉えればよいのかが問題になるはずである。
 そこでまず、職場をシステムとして捉える場合の構成要素を整理してみるとどうなるだろう。会社において組織される各職場は、その存在理由があるはずであるが、この基本的な部分がいわゆる職場の使命と位置づけてよいであろう。この使命を遂行するために基本方針を決めメンバーの基本的行動規範が確立される。
 次はこれを具体的な仕事ベースに翻訳し、具体的な管理(マネジメント)や活動手順(オペレーション)が明らかにされる。これだけでシステムが動き出すわけではないので、これを担う人員が配置されることになるが、この職務を効果的に遂行するための知識や技能、技術、態度、具体的な仕組みに適合しているかどうかが検討される。
 ここでいう技術とは設備などを含む物的技術やこれを使用管理する固有の技術が含まれているのは当然である。この技術的側面は生産システム、物流システム、情報管理システム、リスク管理システムなど複雑かつ専門化が進展しているが、やはり、これらを担うのは最終的に人間である以上、これを仕組みと捉えなければならないであろう。
 以上は経営資源の活用に関する要素であるが、これをどのようにして外部環境に適合させていくかが、職場をシステムとして捉えた場合の構成要素ということになる。したがって、売上高などで示された目標が達成されなかった場合、このシステムのどこに欠陥があるのかを明らかにして、速やかに対処することは管理者の中核的業務である。
 つまり、このシステムを管理・運営するに当って、部下に情報を提供する必要が生じるのであり、恣意的に情報を出し惜しみするという行為は全く意味がないことになる。それどころか、これらの構成要素をパーツとして職場をデザインし、部下が共感するシステムとして示せるかどうかが、管理者の概念化能力なのである。