目標管理制度の枠組み確認

 目標管理制度とは、個人または各部門別に年間の目標を設定し、年度末にその達成度を評価する制度である。個別に達成すべき目標を明確に設定して、一定期間(通常は1年)にどれだけ達成したかを測定できるため、営業成績や開発成果などを評価するのに適していることから、人事制度では中核的ものとして位置づけられている。
 通常の評価方法は、仕事の難易度と達成度を掛け合わせたポイントで評価し、この成果を個人の給与や賞与などに反映させる。この制度導入のメリットは、個別に目標を設定するため、仕事に対する具体的なイメージを掴むことができることと、経営理念や事業戦略、仕事の目的や自分に課せられた役割を関連づけて考えることができことである。
 更に、目標設定面談や評価面接を通じて上司と十分なコミュニケーションを図ることができ、双方が納得しながら仕事を進められる。目標達成の度合いが客観的に測定できるので、実績を重視した評価制度・賃金制度に結び付けやすいが、単純でルーチンな業務や完結した結果が出にくい業務には馴染まないとされている。
 目標設定のポイントは、明確で具体的な目標であること、適正な目標レベルを設定すること、時間軸を設定すること、目標達成のための方法を明記すること、会社の目標と自分の使命を考えながら目標設定を行うことなどである。つまり、会社の目標と自分の目標の統合化を図ることが必須の条件であることに留意しなければならない。
 目標管理制度は、目標設定の評価から評価面接まで、評価者と批評家者とのコミュニケーションがベースとなるため、これまでの年功序列制度の人事評定とは比較にならないほど評定者に負荷がかかる。そのため、前述のような管理者能力の不足が致命的な結果を招いてしまう危険性を孕んでいることにも留意しなければならない。
 元々管理者の他力本願的対応にメスを入れることが、目標管理制度導入の動機となっている企業も多いことを考えると、現状の評価者レベルが低いので導入できないというのでは、何時までたっても目標管理制度を導入することができない。こうした場合には、まず一段高い管理職や専門職を対象にして導入するのが効果的である。