目標達成過程における管理者の対応?その1

 上司の目標と部下の目標が噛み合い、部下が意欲を持って目標達成に向けて動き出すと、今度はその達成過程で上司が部下の仕事ぶりに干渉せず、部下の自己統制によって管理を進めることになる。この局面では管理者はリーダーであるより、マネージャーであった方がルールに即した対応ができるという側面も確かにある。
 しかし、部下の自己統制に委ねるということは、部下の能力や仕事ぶりを尊重するということであり、全てを部下のフリーハンドに任せれば足りるということではない。部下が設定した目標・方針がどのように実施され、どのような進捗状況にあるかを管理するのはマネージャー的仕事であり、達成過程では当然把握しなければならない。
 進捗状況が計画通りに進んでいるのであれば問題ないわけであるが、現実にはそうした場面はまずありえないと考えるべきである。そうした前提に立って設定された目標であるとすれば、上司のコーディネートやタイムリーな情報提供が必要であることは当然であり、上司はリーダーとしての器量が問われるところとなる。
 すなわち、上司は管理者(マネージャー)としての顔とリーダーの顔を使い分けなければならない。というより、上司とはそうした機能が備わっていることが絶対条件なのである。部下の目標達成に対しては口を出し、一方では必要な情報も提供しないというのでは、全く逆の対応としか言いようがなく、目標達成など夢のまた夢である。
 部下に報告を求めるということは、部下の目標達成を援護するためのものであり、部下の仕事ぶりにあれこれ注文を出すことではないし、部下に情報を提供するというのは、部下に干渉することとはまったく違うのである。しかし、えてして真面目な管理者はこれを混同してしまい、場合によっては部下の仕事を取り上げる結果となることもある。
 企業の現場を巡回した際などによく質問を受けるのだが、部下に任せておくと部門の目標達成は到底難しいと判断されるので、やむを得ず口を出してしまう。実績が上がらなければ、管理者としての責任を問われることになるので、止むを得ないと思うのだが、研修などでは権限の委譲を強く求められる。この矛盾はどのように解釈すればよいのか?