リーダーのタイプと職場満足度?その1

 企業経営の成り立ち方を観察してみると、トップあるいはこれに次ぐ管理者は、その企業あるいは業界において高業績を残した人である。当然これらの人材は、それぞれの成功のパターンをもっているから、ものの考え方や価値観にも自信をもち、リーダーシップの形もこれに沿ったものである場合が殆どである。
 そうすると、部下であるメンバーを評価する視点も、その価値観によって固定されてしまう虞がある。成果を測る尺度が客観的である場合はともかく、なかば恣意的に人事評価が行われている場合は、管理者の価値観と真っ向から対立するメンバーは当然低い評価になってしまう。こうした悲劇はよくあることである。
 こうした状態から解き放たれるためには、転職しかないとは知りつつも、家庭の事情や再就職の不安などから、そう簡単には踏み切れないわけである。しかし、その溝がそれほど深いようには見えないこともあるなど、本気度にもかなりの差があることを窺わせるケースもあるため、抜本的な解決策を見つけるのは容易でない。
 いずれにしても、従業員の立場からすれば、かなりの被害者意識を持っているわけであるから、職場に対する満足感は薄いので、できればこうした状態を解消したいと願っていると見てよいであろう。この場合の従業員の対応には2つのタイプがある。
 一つは、長いものに巻かれろとでもいうべきタイプで、一応のノルマはこなすが、余計なことは殆どしないという対応である。つまり、飄々と受け流すことでストレスをためないように工夫しているわけである。もう一つは、会社にとっての成果を逆手にとり、どちらが本物かを直接の上司を乗り越えて経営者にアピールする対応である。
 後者の対応は現実には極めて難しい。何故ならば、経営者の価値観に適う形で管理者が任命されているのだから、職場の上司の価値観と異なる社員の行動が認められる可能性は薄い。しかし、その場合でも経営者が無視できないほどの成果があれば、ある種のバランスがたもたれ、職場に対する満足感が比較的高くなることもある。